学会のあゆみ
本会は小﨑正巳先生が奔走され、稲生綱政、岩崎洋次先生らの協力を得て、1974年1月19日に設立された「臓器保存研究会」を源としています。移植黎明期であった当時、臓器保存研究会は時代を切り開く会として、多くの会員が集結し熱い討議を重ねていました。
1993年になり、稲生、小﨑両先生の「20回を機に会の変革を」とのご発案で、外科学・移植医学のみ成らず、基礎医学、工学、薬学、生命科学等の研究者を加えた広範な分野を対象とする学会への昇格が画され、1993年5月29日に「日本臓器保存生物医学会」が新生され、翌1994年5月に第1回日本臓器保存生物医学会が小﨑正巳先生を初代会長として開催されました。学会への昇格を機に会誌を発刊することになり、邦文誌「Organ Biology」の刊行も開始されています。初代理事長に稲生綱政先生、次いで小﨑正巳先生、雨宮浩先生、浅野武秀先生、近藤丘先生、剣持敬先生が就任され、現体制に連なります。毎年の会の呼称を、学会となった時からの回数で表示していましたが、2006年から研究会時代の20回の歴史を加えることとなり、過去の会もそれぞれ20回を加えて呼称することになりました。
発会から40年目の2013年の総会で「一般社団法人」への移行が決議され、任意団体から法人格を持つ「一般社団法人日本臓器保存生物医学会」になりました(登記日2013年11月28日)。学会活動や他の学術団体との協調、寄付や研究奨励といった分野で、法人格を持つことで活動しやすくなります。
2022年で49年目となる本会は、多彩な学派が集結して、臓器・組織・細胞の保存と機能再生研究、それらで培ってきた知識・成果をもとに、臓器不全の治療と予防、がん化や、組織・臓器の炎症や、代謝不全研究をも対象とする、実のある討議を行う会に発展しています。また、同時に、Cell Transplantation誌や、Cell Medicine誌への査読と掲載をはじめ、研究奨励賞を設けるなど研究補助も行っており、会員諸氏の研究活動の一助となるよう活動しています。
一般社団法人になったことで、研究方向が変わるわけではありませんが、会員諸氏のより充実した学術活動により、Organ Biologyを体系化し、「Organ Biology大系」を著せたらなと夢みます。